毎日、今日が生まれる日。
慌ただしく過ぎる日々の中では、今がずっと続くかのように、様々な物事を浪費してしまっていると感じます。
有限を胸に留めていたら、もっと毎日を大切にできるのかもしれません。
今を見つめるために、生と死の象徴としてのドクロを描きました。
毎日生まれてくる新しい今日を思い、未来に心を向けるための絵です。
限りある命ですが、一方で形を変えながら巡りゆくものであることも確かです。
自然の営みはいつも、目に映る季節だけではなく、次の季節や未来へと繋がっています。
その巡りと尊さを、風や水、光、植物といった自然のモチーフで表しました。
四季の暮らしの中でそばにあるものがモデルです。
不確かで頼もしい移ろいは、命の強さも教えてくれます。
東北に生まれ、山々を覆う霧、雪と氷への畏敬の念を、白という色に感じます。
森の生き物の存在、星々を浮かび上がらせる夜の深い闇の、畏れと優しさを黒に見ます。
それらの均衡を表現するために、背景を半分ずつ塗りました。
左半分には橙のふちどり、右半分には青のふちどりを残しました。
夜がゆく時の青い世界、朝焼け、夕暮れ、宵の色といった時間の概念です。
様々な出来事の光の滲み、希望を忘れないように願いながら、少しずつふちどりました。
ドクロのモチーフを描いてから、避けるように背景全体へ橙と青を塗りました。
その後1ミリほどずらして黒と白を重ねることで、ふちどりを残しています。
白や黒の下にも、ふちどりと同じ色が層に。
見えなくとも、確かにそこにあります。