ヤマガラス

不穏な声が響いてきました。

眩しさを避けながら見上げると、カラスの群れ。

いつもいないところに集まるのは、林の向こうに何かが死んでいるから。

知っている存在だったら悲しい。

まさか、よく姿を見せてくれたあのキジだろうか…ちょうど縄張りの真上。

そんな不安も頭をよぎり、恐るおそる近づきます。

靴越しに土と草の感触。

枝から枝へと渡り、濁った声で鳴くカラス達。

呼び合い、威嚇するかのようなものものしい空気。

彼らは、獲物をとられたくない。

帰れと言うのがわかりました。

その声と、木々のざわめきだけ。

何かが死んだから何だというのだろう。

それは野生においてとても自然なことです。

見に行くべきではないし、山のサイクルへ関与しないよう。

私は林の向こうを確かめることなく、背を向けました。

生と死、脈々と続く中の一瞬。

よく晴れた夏の終わり。

ヤマガラスを通して知った、しんとした命の感触を描きました。

  • 制作年 / Year
    2023
  • 素材 / Materials
    紙、アクリル絵具
  • サイズ / Size
    410×318mm

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