花は枯れてこそ花。
永遠に咲き続けているとすれば、それはもう花ではない別のものです。
人も同じ、生きないと死ねない。
終わりがくるとわかっているからこそ命は咲きます。
もし永遠に生きられるなら、あらゆる価値がわからなくなるはず。
持ち過ぎれば持っていないのと同じ。
この絵の “花のようなもの” は枯れないため、花ではありません。
非現実的な色あい、途切れた茎、滲む輪郭。
枯れそうにないものを描くことで、終わりのある美しさや枯れる尊さを描かずに表現しました。
目に映らないものを映らないまま描くためのアプローチです。
枯れない花のようなモチーフのモデルは手向けの花です。
生ききった命への敬いを込めています。
【メタセコイア・キョウマチボリ・アートフェア2022】
展示作家選出
株式会社ZIZO 川口智士氏より審査員賞
ArP/ロイドワークスギャラリー代表/BSフジ「ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜」統括プロデューサー 井浦歳和氏レコメンド
花のようなモチーフを仕上げた後、そこを避けながら、背景全体を黒くしました。
春霞の前の晩のような青みの黒に。
今となっては面影もありませんが、重ねていく過程、見えなくなる色にも意味があります。
そこへ少しずつ白を重ねていきました。
完成時には見えない工程ですが、歳を重ねることや時間の経過を表すため、夜明けの手順を踏みました。