この絵と対になる「花ではないもの」。
手向けの花をモデルに枯れない花を描き、生と死を想う絵。
限りあることの尊さを逆説的に表現しました。
こちらではさらに、思い出や人との繋がりを胸に。
夕暮れから深い夜へと包みながら描きました。
前作から現在、そして未来へ目を向けるための一枚。
モチーフを先に描き、あとから背景全体を夕陽の色に染めた後、黒を重ねています。
背景に色を重ねる過程で、下の層をわずかに残し、光が滲むようにしました。
実物はキラキラと発光して見えますが、特別な画材は使っていません。
意識と無意識を使う制作スタイルのため、描く瞬間は無意識の割合を大きくします。
非現実的な色合いや形もまた、私の奥底から浮かびあがる現実です。
音からの色、音像も大きく影響しています。
この絵で再び枯れない花を描いた理由は、私の中にある命への意地からでした。
私はまだ生きていて、本当の死を知りません。
描くにあたって生だけを意識しました。
いつでも思い出せる大好きな景色とともに。